嚥下障害に対して行われるのは、原因の疾患があればその治療、リハビリテーション、外科的治療となります。
嚥下障害
嚥下障害
食べ物を見て認識して、口に入れ、噛んで、のどに送り、食道から胃に至るまでの一連の過程のことを言います。
この流れは5期にわけて説明されます。
嚥下障害とは、上に示したいずれかの期間が障害された状態をいいます。
原因となる疾患は脳梗塞や脳出血による麻痺、進行性の神経疾患などによってのどの動きが悪くなること、耳鼻科領域の腫瘍などで飲み込みにくくなることなど様々です。高齢の方が肺炎や骨折、脳卒中で長期入院することをきっかけに嚥下障害が起こることもあります。
年齢が進むと、特に男性で喉頭(声帯のある部分、いわゆるのどぼとけ)が周りの筋力低下のために下がります。すると、飲み込むときに喉頭を上まで持ち上げにくくなってのどの中に圧力をかけにくい状態になります。しっかり喉頭が持ち上がらないと、舌の奥にある喉頭蓋が気管の蓋をできず誤嚥(食べ物や飲み物が気管に入ること)を起こします。
嚥下がうまくいかず、誤嚥を繰り返すと、誤嚥性肺炎を起こします。のどに物がつまり窒息することもあります。嚥下障害があると、唾液の誤嚥も起こすので、食事の時だけでなく寝ている最中などにも誤嚥を起こすリスクが上がります。
嚥下障害にはこんな症状があります
嚥下の状態を評価するのに以下の様な診察・検査を行います。
嚥下障害に対して行われるのは、原因の疾患があればその治療、リハビリテーション、外科的治療となります。
食べ物を使わないで舌や口、頬を動かして口周りの筋肉の動きをスムーズにし、咀嚼と嚥下の機能を回復させます。
筋肉が固かったり、体に力が入っていると誤嚥しやすくなります。体や首や肩の筋肉をほぐし、リラックスすることが大事です。ストレッチや深呼吸も効果的です。
凍らせた綿棒に水をつけ、口腔内や喉を刺激してアイスマッサージを行い「嚥下反射」を誘発します。反射的に気管にふたをする動きのことです。
顎(あご)から下をマッサージして筋肉を刺激し、嚥下運動を促進します。
口腔内に食べ物が残っていてうまく嚥下運動が起こらない場合にも行う方法です。
誤嚥防止のための訓練です。呼吸に使う筋力をアップして、痰や食べ物が気管に入ったときに強い咳で排出できるようにします。
実際に食べ物を使用して嚥下のトレーニングを行います。
咀嚼のいらないゼリーなどを丸呑みするところから始め、段階的に通常の食事に近づけていきます。
「パ・タ・カ・ラ」と大きな声で繰り返し発音して、パとタで口唇と舌の筋力をアップし、カで喉の奥を動かし、ラで喉に送るための舌の動きを鍛えられます。
とろみ調整食品やゼリー状食品などを用いて、嚥下後の口の中に残る食べ物を減らせ、誤嚥も防げます。
手術治療で飲み込みの状態を改善します。
手術目的で2種類に分かれます。