難聴とは聞こえにくい状態をいいます。伝音難聴と感音難聴があります。
伝音難聴
外耳や中耳に何らかの障害があることで起こります。疾患には外耳炎、中耳炎、耳硬化症があります。(外耳炎、中耳炎はみみで詳しく説明しています。)
感音難聴
内耳、聴神経、脳の障害で起こります。疾患には突発性難聴、加齢性難聴、騒音性難聴、先天性難聴があります。
耳硬化症
鼓膜には耳小骨が付着しており、これが振動して内耳に音を送っています。耳小骨はツチ骨、キヌタ骨、アブミ骨の3つが関節で繋がっています。骨造成でアブミ骨の可動制限をきたすことで起こる進行性の伝音難聴の疾患です。聴力検査、CTスキャンで診断をします。治療は手術の治療です。改善する可能性の高い疾患です。
突発性難聴
突然発症する高度の片側感音難聴です。
発作はただの1回で、めまいは回転性だけでなく浮遊感だったり、めまい症状がない場合もあります。ウイルスの感染や、内耳の血管の血栓(血のかたまり)などが原因の多くと考えられています。
早期に治療を開始する方が聴力回復の可能性が高くなり、発症1週間までの間に受診していただく方が良いです。
治療は薬物治療が主となります。初期の治療はステロイド、血管拡張薬、代謝改善薬、ビタミン剤などですが、ステロイド鼓室注入治療、高気圧酸素療法が選択される時もあります。
加齢性難聴
身体的機能低下の一種で、加齢に伴う生理的変化で両側の感音難聴を示す疾患です。
高音域を中心として聴力の低下を起こします。一般的に55歳以降で認められ、男性の方が早期に出現しやすいようです。65歳以上で急増し、75歳以降では7割以上が該当します。
改善させる方法はなく、補聴器での対応が代表的なものとなります。適応症例は少ないですが、人工内耳で改善される例もあります。難聴は認知症を悪化させる要因となることも知られていますから、補聴器が合わないからとすぐに使用することをやめるのではなく、医師や補聴器屋さんとよく相談しながら使用してもらうことをお勧めします。
騒音性難聴
強く大きな音は蝸牛(内耳の聴覚をつかさどる感覚器官)を障害します。蝸牛にある有毛細胞が害されることで起こります。それにより騒音性難聴、音響障害を起こします。近年、ヘッドホン、イヤホンで音楽を聞く機会が増え、若い年代でも難聴を起こすことが増えました。また、ロックなどのコンサートで大音量を聞くことでも起こります。
イヤホンを使用するときは、1時間以上使用しないようにする、ヘッドホン、イヤホンをつけていても会話ができる程度の音量にするなど気を付けましょう。